4 歯周病の治療ってどのようにするの?
歯周病の治療計画

診察により歯周病の状況を把握し、さらに生活習慣について聞き取りを行って治療計画を立てる
歯周病とは、歯を支えている組織(歯肉・歯根膜・歯槽骨)に起こる病気で、歯に付着したプラークや歯石に潜んでいる歯周病細菌が、歯を支える組織をじわじわと破壊する病気です。成人の約70%が罹患していると言われています。
この歯周病細菌に喫煙・糖尿病・不正な咬み合わせなどの因子が加わると、さらに歯周病が進みやすくなります。初期では自覚症状がない事が多いために、気がついたときには手遅れで、抜歯になることも多々見られます。歯周病の恐ろしさは、歯を失うことだけにとどまりません。プラークや歯石には、むし歯菌、歯周病菌の他にも色々な病原性細菌が含まれていて全身へ影響を及ぼすことがあり、最近では心臓病、糖尿病、敗血症、早産、低体重児出産、高齢者に多い誤嚥性肺炎などとの関連性が指摘されています。

写真提供:日本歯科医師会(無断転用禁ず)
歯周病の治療方法
1. プラークコントロール
磨き残している部分を染め出したりして、その人に合ったブラッシングの指導を行います。自分でできる治療を「セルフケア」と言いますが、歯周病のセルフケアで重要なのがブラッシングです。歯を正しく磨けていなければ歯周病を治す手助けにはなりません。
2. スケーリング、スケーリング・ルートプレーニング
歯周病の原因の一つである歯石の除去および病的な歯根面の清掃を行います。 歯石は歯面に強くくっついていて、ブラッシングでは取り除くことができません。歯石を取り除くには歯科医や歯科衛生士による「プロフェッショナルケア」が必要です。下の写真の根面に付着している黒褐色の部分が歯石です。この患者さんは歯石の付着を放置したために、重度の歯周病になり残念ながら抜歯せざるを得ない状態でした。歯根面は歯肉などに隠れているために、歯石が付着していても自分では気がつかないことがほとんどです。少しでも不安があったら歯科医院を受診して調べてもらってください。
3. 歯周ポケット掻爬
ポケットが深く、プラークコントロールで症状が改善されないときは、歯根面の清掃と歯に接触している歯肉の不良な部分を掻爬します。左下の写真は治療前で歯に歯石が付着し歯肉が腫れていますが、歯周ポケット掻爬後の右の写真では歯肉の腫脹は治まり歯肉が引き締まっています。

4. 歯周外科手術
歯周病が重度の場合は、不良な歯肉・歯槽骨・歯根面の手術を行います。

5. 抜歯
保存が不可能となった歯は抜歯をします。
6. 生活習慣指導
歯周病は生活習慣病であるため、日頃の生活習慣について指導を行います。
歯周病の予防
歯科医師、歯科衛生士による指導を受け、正しいブラッシングを行い、歯周病にかかりにくい生活習慣を心がけることと、定期的な健診で予防できます。
歯周病はセルフケアとプロフェッショナルケアで予防しよう!